サービス料をお支払いして付き合うくらいの関係性のほうが、気楽で楽しいかもしれない。
昨日夕方のテレビ番組で、「おっさんレンタル」が人気だという特集をやっていた。
1時間1,000円でおっさんをレンタルできるというものらしい。
依頼内容は多種多様で、
・市役所での手続きがよくわからないから、一緒についてきてほしい。(20代女性)
・ホームレスの人にお菓子をおすそ分けしたいけど、ひとりだといきづらいから一緒に来て欲しい。(同上)
・2人で飲むのがマンネリになってきたので、一緒に飲みの席の話し相手になって欲しい。(若い男女)
・仕事の愚痴(年上の部下への扱いに困っている)・相談をしたい。(多分40代くらいの男性)
・起業したいので相談にのって欲しい。(30代の女性)
などなど。
おっさんレンタルが人気の理由として、
・経験豊富で頼りになる
・ズバズバ言ってくれる
・深い関係でないからこそ、本音を話しやすい
などだそうだ。
利用者の8割が女性というのも、なんかわかる。
私はこれを見ててすごくよく分かって、
お金で介在する関係だからこそ気楽だし、ちょっとしたことを頼みやすいし、何でも話しやすいなと思った。
例えば愚痴とか話したくても、聞きたくないって人も多いし、中には露骨に「そんなことここで言っても仕方ないじゃん」とか正論で返す奴もいるから、「こんな話聞かせるのもな・・・」ってなっちゃうけど、
サービス料としてお金払って聞いてもらうと思えば話しやすいよね。実際おっさん側もサービスだから聞き手に徹してくれるしね。
「なんかひとりで行くのもな・・・」っていうところについてきてもらうにも、家族や友達には「こんなことに付き合わせるのもなぁ」って思っちゃうけど、お金払ってついてきてもらうとなれば気楽だよね。
私は、「結局みんな自分の話することが好きで、他人の話なんてどうでもいいんだよな」って思い始めてたんですよ。
本当は他人の話なんて聞かずに、自分の話だけ楽しそうに聞いて欲しいんだろうなって。
どうせ何聞いたって面白くないんだろうし、人が話してる間に自分の話したいこと考えてるんだろうなって。
現に私は、子供の頃から、自分の話してる途中で割り込まれることがしょっちゅうあるんですよ。
それがすっごく嫌なんです。せっかく話しても、途中で遮られて、自分の話始められて・・・せっかく思ったことを口に出したのにって。
そう思うと、思うことや話したいことがあっても、「こんな話、どうせ話しても、他人からすれば面白くないしな・・・」と思って話す気も起きないんですよね。
人の話なんて、大して聞きたくないんだろうから。そりゃ見返りも無いのに他人のつまんない話なんか聞く気起きないですよね。
でもお金払って「聞いてもらう」ってなれば、話す内容も面白いかとかいちいち気を遣わなくていいし、相手も聞くことに徹してくれますしね。
さらに経験豊富なおじさんだから、アドバイスを求めればいいアドバイスもくれそうですしね。
おっさんレンタルに登録されるおっさんは、年間13万登録料を払って登録されてるらしいんですよね。
ってことは、わざわざ若い女相手に偉ぶりたいだけみたいなおっさんは、恐らくいないと思うんです。そんな器の奴は、年間13万の登録料を払ってまで便利屋みたいなものに登録なんかしないと思うから。
レンタルされるおっさんに話を聞くと、「人の役に立ちたい」とか、そんな理由が多かった。
昔は、「何でも理解してくれる、唯一無二の存在が欲しいな」って思ってたけど、
最近は、「さっぱりした関係の方がかえって楽だな」って思った。
普段はひとりでいて、たまに昔の同級生と会ったり、人付き合いはそれくらいで十分だなって。
で、さっきの「市役所についてきてほしい」みたいなことはその程度の浅い付き合いの人には気軽に頼めないけど、そういうのはこの「おっさんレンタル」みたいなのを利用すればいいなって。
さらに人と話をするときは、お金を介在した関係くらいの方が、実は気軽に話せて楽しいだろうなとも思う。
その場限りの、ということであれば、飲み屋で会った人なんかでもいいのかもしれないけど、それだと下心がある可能性もある。
でも、こちらからお金を払ってお願いする、いわゆる「客」ということであれば、下心とかも関係ない。むこう(おっさん)から連絡が来ることもないし。
もしそんなことがあったら会社に通報すればいいし、そんなことがあったら会社としても問題になりますからね。
こちらが必要とするときに、お金を払って呼ぶわけですから。気楽ですね。
よくよく考えたら、「タダで話を聞いてもらおう」なんていうのが、おこがましかったんだと思う。
だって、「話聞いてよ!」なんて、話し手の都合でしかないよね?
話し手の「私が今話をしたい」という希望だけが通されて、聞き手の「別にそんなに聞きたくない」という希望は無視じゃないですか。
人に話しかけられたら、ちゃんと聞かなきゃいけないとかさ。聞きたくない気分のときとか、人の話聞くよりやりたいことがあるときだってあるじゃん。
それでも人が話したら、聞かなきゃいけないなんて。
それもどうでもいい話のときもあるのに。
しかも「タダで」だよ?しかも「ちゃんと聞いて!」とかさ。大して面白い話もしてないのに。
「タダで面白くも無い話をちゃんと楽しそうに聞いてもらおう、聞き手側の都合は関係ない、今私が話したいのだから」なんて、よくよく考えたらそんな勝手な話ってあるの?って話ですよね。
そしてそれを相手に強要するのもおこがましい・・・虫のいい話だったんですよね。
電話の「なんで出ないの?」もそう。
それって話し手の都合でしかないじゃん。受け手の希望は無視かよっていう。
電話出たくなきゃ出ないでいいじゃない。
なんで話し手の「話したい」は良くて、受け手の「出られない」「出たくない」はダメなんですかね?
私は相手が電話出なかったら「ふーん」で終わるよ。電話ってそういうもんだと思ってるから。
そもそも電話自体めったにしないけど。
掛かってきてもほとんど無視する。
元々、実家が常に居留守使う家庭だったんですよねww
さすがに黒電話の頃はそうじゃなかったけど、プッシュホンになって留守録機能がついてからは、電話掛かってきても誰も出ずに常に居留守。
だから、「出たくなきゃ出ない」が別に普通という。
未だにケータイ出なくても何も言われたことない。
どうしても伝える用件があればメール来るしね。
私を苦しめた奴は、電話に出なかったりメールを変えさなかったりするといちいち言ってきたり、電話に出るまで掛け続けてきたりしたから、こういう人って本当にいるんだなと思った。
電話を当たり前に連絡がつくツールだと思ってる人。連絡したら相手が応えて当たり前だと思ってる人。
こういう人が携帯電話の利便性を通り越して、携帯電話によって世界を窮屈にしてるというのにね。
それならもう電話なんか持たない方がいいよね。
だからもう、人に求められるのは嫌だな、と思った。
自分が必要なときに対価を払って呼ぶ、くらいがちょうどいいと。
それくらいの方が色々と気楽でいい。
「おっさんレンタル」が成功した理由がよく分かるわ。